カポネの悪業

 カポネの悪業は、こればかりではなかった。最初の親分エールをも、殺したのである。 それは一九二八年七月一日のことであった。――だから、エール親分が、カポネを、この世界に於ける、一人前の人間にしようとして、コロジモに紹介した時から、八年後のことにあたるのであるが、エール親分は、乾児のカポネが、市俄古《シカゴ》で、いい顔になっているということを聞き、喜んで、市俄古《シカゴ》へ行き、カポネを祝福した。 カポネは、エールを、大いに歓迎したそうである。

「お帰りでござんすか。じゃアこのくるま[#「くるま」に傍点]に乗って」 とカポネは、エールを自動車に乗せた、然《そ》う、「自動車《くるま》に乗せた」のである。そうして、「くるま[#「くるま」に傍点]に乗せる」ということは、郊外におびき[#「おびき」に傍点]出して、殺すということなのである。 エールの自動車が、四辻へ来た時、一台の自動車が、後から追っかけて来て、それと平行した。途端に、窓から機関銃の筒口が出て、タ、タ、タ……お解りでしょう! エールは天国へ行ったのである。 しかし、何故、こんな、古くさい、カポネ事件などを、私が今更、持出して、ここに書くのであろう? 一国の士気は、上流社会に於て見るよりも、下流の――ギャングとか、やくざの世界に於て見る方がよい。      ×     ×      × そんな米国だ! ABCD包囲陣などを日本に向かってやった[#「やった」に傍点]所で…… 鎧袖一触さ! こいつが云いたかったからである。

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